保険代理店の労務管理


給与の設計から保険代理店に合った人事評価制度を設計します。
社会保険労務士小野事務所は保険代理店の人事評価、雇用管理をご提案します。

保険代理店は委託募集人の制度から雇用人(従業員)として雇用することが原則必要です。内容を理解し正しい雇用管理の相談、指導、会社にあった人事労務管理を提案いたします。


      

 

 

労務管理の基礎知識

保険代理店の雇用管理は2015年から特に労働社会保険法令の順守が求められてきています。採用からの基本的な内容です。

 

 

1.入社時に取り交わす書面

()労働条件通知書兼雇用契約書

会社が労働者を雇い入れるときは、次の労働条件について書面(労働条件通知書兼雇用契約書)の交付により明示しなければなりません。

l  労働契約期間

l  期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

l  業務内容・就業場所

l  始業・終業の時刻、時間外労働の有無、休憩時間、休日、休暇

l  賃金の計算、締切日、支払日、昇給、賞与、退職金

l  退職、解雇

労働条件通知書兼雇用契約書はトラブル防止の観点から、2部作成しそれぞれに会社と労働者、双方、捺印の上、会社控と社員控として取交すことをおすすめします。

 

()入社誓約書

不正に対する抑止のため、誓約書の提出をもとめます。入社誓約書に記載する主な事項

l 就業規則の遵守

l 採用時の提出書類に虚偽がないこと

l 会社の信用を損ねる行為をしないこと

l 個人情報・機密情報の漏洩をしないこと

l 会社に損害をあたえた場合は、賠償に応じること

l 定期健康診断を受診すること

l 反社会的勢力でない、かかわらないこと

l 競業をしないこと

 

(3)身元保証書

会社として社員が不祥事を起こした場合に、本人と併せて損害賠償責任を負ってくれる人を確保しておく必要があります。

①有効期間

1 回の契約期間は、特に定めがない場合には3年、期間を定めた場合でも最長は5年までとなっています。

②保証人への通知

社員が業務上において、不適任、不誠実な行いを引き起こしたことにより身元保証人に責任が生じる場合や、社員の任務、任地を変更したことで、身元保証人の責任が重くなった場合は会社は身元保証人に対してその旨を通知しなければなりません。

 

 

2.就業規則

(1)就業規則の作成義務

職場において守られるべき規律や共通の労働条件を定めたものが 「就業規則」です。

常時 10 人以上の労働者を使用する事業場は必ず就業規則を作成し、労働基準監督署に届出なければなりません。

「労働者」にはパートタイム労働者やアルバイト等も含まれます。

  

(2)就業規則に記載する事項

就業規則に必ず、記載しなければいけない事項

l  始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、交替勤務制の場合の就業時転換(交替制)に関する事項

l  賃金に関する事項

l  退職に関する事項

規定をした場合には、必ず就業規則に記載しなければならない事項

l  退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

l  臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

l  労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

l  安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

l  職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

l  災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

l  表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

l  以上のほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

(3)労働者代表の意見聴取

就業規則を作成、変更する場合には、労働者代表の意見を聴かなければならないこととされています。

①労働者代表とは

l  労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合

l  労働組合がない場合や労働組合があってもその組合員の数が過半数を占めていない場

                合には、「労働者の過半数を代表する者」をいいます。

上記の「労働者の過半数を代表する者」とは、その事業場の労働者全員の意思に基づき選出された者をいいます。

過半数を代表する者は、次のいずれにも該当しなければなりません。

l  労働基準法第 41 条第 2 号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと

l  就業規則について、従業員を代表して意見書を提出する者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法により選出された者であること

【選出方法の例】

l  投票により、過半数の労働者の支持を得た者を選出する方法

l  挙手により、過半数の労働者の支持を得た者を選出する方法

l  候補者を決めておいて投票や挙手、回覧によって信任を求め、過半数の支持を得た者を選出する方法

l  各職場ごとに職場の代表者を選出し、これらの者の過半数の支持を得た者を選出する方法

(4)就業規則の届出

作成した就業規則は、労働基準監督署に届け出る必要があります。届出の際のポイントは、次のとおりです。

l  就業規則(変更)届を2部準備します。

l  就業規則は、会社控と労働基準監督署控の2部を準備します。

l  (3)の労働者代表の意見を記載した書面を2部添付します。

 ()就業規則の周知

就業規則は、労働者の労働条件や職業で守るべき規律などを定めたものですから、労働者全員に知らせておかなければ意味がありません。できれば労働者一・人ひとりに就業規則を配布することが望まれますが、少なくとも各職場の見やすい場所に掲示するか、あるいは労働者がいつでも見ることができるような場所に備え付けるなどの方法により、労働者に就業規則を周知しておく必要があります。

なお、周知方法として、就業規則を磁気テープ、磁気ディスク、その他これらに準ずるものに記録し、各作業場に当該記録の内容を常時確認できる機器を設置し、労働者が必要なときに容易に見ることができるようにしておくのも一つの方法といえます。

特に、新たに就業規則を作成し、あるいはその内容を大幅に変更した場合には、その内容がすべての労働者に確実に、かつ速やかに周知することが重要です。

 

3.時間外労働・休日労働に関する労使協定(36 協定)

会社側が一方的に時間外労働をさせることができないように、次のような要件が設けられています。

  

テキスト ボックス: 法定労働時間を超えて労働させる場合には、時間外・休日労働に関する労使協定を締結し、行政官庁(労働基準監督署長)に届け出なければならない。 ⇒その上で、割増賃金の支払いが必要となる。

  

この労使協定は、労働基準法 36 条に規定されていることから、「36(サブロク」協定と

呼ばれています。

なお、労使協定とは、労働基準法において、「使用者が、当該事業場に、労働者の過半数 で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働  組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との間に締結した書面による協定」と定義されています。つまり、会社側と社員側(過半数代表者が結ぶ書面協定を指します。

 

※時間外労働の 36 協定の場合、就業規則に、「36 協定の範囲内で一定の事由があれば時間外労働を命ずることができる旨の定め〔命令規定〕」が必要です。

①36 協定の協定事項

l  時間外又は休日の労働をさせる必要のある具体的事由

l  業務の種類

l  労働者の数

l  1日及び1日を超える一定の期間(1日を超え3か月以内の期間及び1年間についての延長することができる時間又は労働させることができる休日

l  有効期間の定め

②労働時間の延長の限度等に関する基準における限度時間

 

 

 

   

   

対象期間が3か月を超える1年単位の

変形労働時間制の対象者の場合

1週間

15 時間

14 時間

2週間

27 時間

25 時間

4週間

43 時間

40 時間

1か月

45 時間

42 時間

2か月

81 時間

75 時間

3か月

120 時間

110 時間

 

360 時間

320 時間

この限度時間を超える時間外労働等を行わせる必要がある場合には、「特別条項付 36 協定」が必要となります。

 

 

4.健康診断

健康診断は、労働者の雇い入れの際及び毎年 1 回定期的に実施しなければなりません。健康診断のポイントは、次のとおりです。

l 健康診断の実施の対象は、「常時使用する労働者」です。パートタイム労働者等においては、1 年以上継続勤務し、1 週間の所定労働時間が当該事業の通常の労働者の4 分の 3 以上の者について、健康診断を実施しなければなりません。

l 事業者は健康診断の結果を労働者に通知しなければなりません。また、健康診断の結果、「特に健康の保持に努める必要があると認める労働者」に対し、医師等による保健指導を行うように努めなければなりません。

l 常時 50 人以上の労働者を使用する事業所は、定期健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署に提出しなければなりません。

 

 

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