1 目的
従来の人事評価にとらわれない、評価の為の人事評価制度でなく、業績向上、生産性向上のための人事評価制度を目標とします。
成果主義が思った以上に企業業績に良い結果をもたらさなかったこと。
人材育成と生産性向上の人事評価制度を作り、その評価により、賃金・昇進・昇格を決定します。
社員に解りやすく、運用しやすい人事評価制度です。
2 評価項目
1)コアコンピテンシー評価
人事評価制度は基本的にはどんな職業も以下の能力を基本的能力とします。
この評価をコアコンピテンシー評価といたします。
①企業理念の理解と実践
②社会的責任
③協調性
④責任感
2)行動評価(コンピテンシー評価)
行動評価は、「実務知識」や「実務スキル」などの習得的能力もあれば,「理解力」「判断力」「折衝力」「企画力」「統率力」などの習熟的能力もあります。何を評価要素とするか,
会社のできる人の行動特性や保険業界でできる人の行動特性として導入されている行動基準を参考にします。職種ごと例えば、営業、管理、事務、企画等職種に応じてコンピテンシーを作成します。
3)業績評価
業種により目標は様々です。営業に関して言えば対予算比率は一つの目標となります。
以下参考にしてください。
①対予算対する達成率
②新規顧客開拓率
③各職種、職務遂行のための到達すべき行動基準に対する達成率
④期間を定めた個別目標の達成率
⑤資格を取得する。特定の職業能力を向上する等を目標とします
3 評価の体制は、
評価面談を前に評価シートに先ず自己評価をします。第1評価者としてその上司が行います。第2次評価者は最終評価者となります。職務に応じて管理の分門になれば最終評価者は企業の代表者となります。
評価内容等を検討するために、会社幹部を構成員とする人事評価委員会を設けます。
4 人事評価の手順について
1)第1に企業の理念、基本方針、社会的な使命を決めます。
企業理念や社会的使命について、少し考える時間を取って、あらためて理念を決定するに至らなくても、何がわが社の社会的使命なのか考えることは効果的です。「お客様は我々に何を望んでいるのか」とか、「これからのお客様のニーズはどんなものか」時間をとりみんなで考える場を持ちましょう。会社の事業計画やビジョンを明確に致しましょう。
2)第2に人事制度の目的を明確にしましょう。
人事評価は単に給与や賞与を決定するだけのもの、目先の業績を向上するだけの意味付けで導入するのではなく、何が目的で、誰の為か、その意義を明確にする必要があります。会社の業績を向上させることと、社員一人ひとりが自己実現するためのものでもるべきです。業績評価だけでは、組織の中に個人主義を蔓延させるだけになります。成果主義が個人主義に陥り、冷たい組織になり、資産である人材を生かし切れない人事制度になります。人事制度が会社の社風を作る力を秘めている力を持っていることに注視しましょう。
3)第3に等級制度を作成します。職務の区分と内容を4から5等級に区分します。
職務概要書を作成してあればそれを、参考にできますが、職務概要書作りに時間を掛けても運用されていないのが実情です。社内の役割を明快にし、小野事務所がヒアリングをし等級を提案します。最終は社長が決定いたします。
4)評価シートに等級ごとの社員の評価基準(コアコンピテンシー、職種コンピテンシー)作成します
5)個人目標管理シート作成
目標管理シートは1年間、又は6か月の判定期間に対する目標を作成し、進捗状況やプロセスを確認、指導致します。 この時点で社員に事前に自己申告書を作成してもらいます。
上司は自己申告書をチェックし、1年間(または6か月)の目標管理シートを社員と面談しながら作成します。
①コアコンピテンシー 社員としての企業理念、ミッションの重点行動基準で不足している内容とします。
②職種コンピテンシー 職種(職務)のコンピテンシー評価を等級ごと作成し評価シートを作成します。
③業績成果目標 個人とチームの業績目標のための行動計画を作成します。 行動レベルの判定と育成計画作成特に行動の向上を求めたい基準を選択し、育成計画と進捗状況、修正等を本人と上長およびグループ長と進めます。
5 評価の時期
人事評価は年2回の賞与査定時に合わせて行う企業が多いのですが、人材育成、行動力向上、目標管理を行う場合は3月に1回を推奨します。特に業績評価は目標管理シートを活用し1月に1回全体的な評価をし、PDCAを策定します。下図のサイクルを参照。
6 評価の基準(採点)
業績評価は5段階、行動評価は5段階とします。
1)業績評価は成果に対して公正に行います。
数値目標を掲げることにより、短期成果の積み重ねが会社事業成果につながります。
2)評価:採点
各基準を本人が採点した後、第1次考課者が面談し記入します。次に第二次評価者が行います。規模が小さな会社は社長が2次評価と最終評価を行う場合があります。社長が最終評価を採点します。
業績評価、コンピテンシー評価 コアコンピテンシー評価の評価ウェイトを決めます。
職種、職務及びレベルの区分ごとに業績評価と行動評価、情意評価の比重を決めます。下記は一例として参考にしてください。
|
評価カテゴリー |
||
等級(グレード) |
業績評価 |
行動評価 |
情意評価 |
スタッフ |
55% |
25% |
20% |
シニアスタッフ |
60% |
25% |
15% |
マネ―ジャー |
70% |
20% |
|
部長 |
100% |
|
|
ウェイト計算後、被評価者の期間の評価を決定いたします。
評価を5ランクにすると
ランク |
S |
A |
B |
C |
D |
点数 |
90以上 |
80~90未満 |
65~80未満 |
50~65 未満 |
50 未満 |
評価は賃金、賞与、人事評価、社員育成に活用いたします。
コアコンピテンシー 職種コンピテンシー 業績成果管理を合わせて個人の評価シートを完成します。評価シートは1年ごと改定します。
8 賃金テーブル
役割給(レベル給)を基本とします。賃金役割給をべースとします。
現在の賃金規程から大きく変わる場合は、就業規則、労務規定や雇用契約を見直す必要があります。評価で賃金が大きく変化するケースがありますので、暫定期間2年位を予定します。賃金は会社経営に直結しますので業績との整合性を確認します。
評価者研修をし、評価に対する姿勢や手続きを共有化します。
9 処遇・昇格・昇給
評価による反映は、コアコンピテンシー評価と行動評価は基本給と昇格に反映、業績評価は賞与に反映します。
会社の歴史や風土も考慮し、ウェイト評価、総合評価を検討します。
10 コース別人事制度導入
仕事に対する考えが、様々です。最近はアルバイトを認める会社が増えました。厚労省も就業規則のモデル条文を発表しています。人材活用や多様性を導入することが業績向上につながります。
11 退職金制度
評価を退職金に反映することを提案します。ポイント制や確定拠出年金など新しいい制度を導入することは人材確保からも大事です。
最初から完璧な人事評価制度はできません。60%完成で取り組みを始めるのが成功の秘訣です。