同一労働同一賃金確認
人事評価制度導入(処遇制度)導入の必要性の法根拠
根拠1「労働施策総合推進法」
(基本的理念)
第3条
労働者は、その職業生活の設計が適切に行われ、並びにその設計に即した能力の開発及び向上並びに転職に当たつての円滑な再就職の促進その他の措置が効果的に実施されることにより、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。
2 労働者は、職務の内容及び職務に必要な能力、経験その他の職務遂行上必要な事項(以下この項において「能力等」という。)の内容が明らかにされ、並びにこれらに即した評価方法により能力等を公正に評価され、当該評価に基づく処遇を受けることその他の適切な処遇を確保するための措置が効果的に実施されることにより、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。
(解説)
労働者は、次の事項により、自らの職業の安定が図られるように配慮されるものとする。
(1)職務の内容及び職務に必要な能力、経験その他の職務遂行上必要な事項(能力等)の内容が明らかにされること。
(2)能力等の内容に即した評価方法により能力等が公正に評価されること。
(3)その評価に基づく処遇を受けること。
(4)その他の適切な処遇を確保するための措置が効果的に実施されること。
人事評価制度とそれに連携する処遇制度が必要です。
同一労働同一賃金違反に罰則はありませんが、未払い賃金や賞与・退職金の請求等損害賠償請求を求められるケースが想定されます。
根拠法2「パート・有期雇用労働法第10条(賃金)」
(賃金)
第10条 事業主は、通常の労働者との均衡を考慮しつつ、その雇用する短時間・有期雇用労働者(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者を除く。
次条第2項及び第12条において同じ。)の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を勘案し、その賃金(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものを除く。)を決定するように努めるものとする。
(解説)
(1)職務の内容及び職務に必要な能力、経験その他の職務遂行上必要な事項(能力等)の内容が明らかにされること。
(2)能力等の内容その成果(業績)に即した評価方法により能力等が公正に評価されること。
(3)その他の就業の実態に関する事項を勘案し評価に基づく処遇(主に賃金)を受けること。
(4)その他の適切な処遇を確保するための措置が効果的に実施されること。
パート・有期雇用者にも人事評価制度と連携する処遇制度が必要です。
均衡待遇にかかる法律根拠
根拠法1「パート・有期雇用労働法第8条」
(不合理な待遇の禁止)
第8条 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。
8条により
基本給、賞与等の待遇について、次の事項を考慮して、不合理な相違を設けてはならない。
(1)職務の内容※1
(2)職務の内容・配置の変更の範囲
(3)その他の事情※2
※1:職務の内容=業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度
※2:その他の事情= 「職務の内容」、「職務の内容・配置の変更の範囲」以外の事情で、個々の状況に合わせて、その都度検討。成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、労使交渉の経緯は、「その他の事情」として想定されている。
均等待遇にかかる法根拠
根拠法1「パート・有期雇用労働法第9条」
(通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止)
第9条 事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間・有期雇用労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」という。)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。
次のいずれもが同一の場合は、基本給、賞与等の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。
(1)職務の内容※1
(2)職務の内容・配置の変更の範囲
※1:職務の内容=業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度
次のように業務の内容と責任 を明確にし、処遇基準を作成する。
労働者派遣法第30条の3 (不合理な待遇の禁止等)
1 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する派遣先に雇用される通常の労働者の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。
パート・有期雇用法8条に対応
労働者派遣法第30条の3 (不合理な待遇の禁止等)
2 派遣元事業主は、職務の内容が派遣先に雇用される通常の労働者と同一の派遣労働者であって、当該労働者派遣契約及び当該派遣先における慣行その他の事情からみて、当該派遣先における派遣就業が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該派遣先との雇用関係が終了するまでの全期間における当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるものについては、正当な理由がなく、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する当該通常の労働者の待遇に比して不利なものとしてはならない。
待遇情報の提供は次頁を参照下さい。
比較対象労働者の待遇等に関する情報提供
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第 26 条第7
項に基づき、比較対象労働者の待遇等に関する情報を下記のとおり情報提供いたします。
1.比較対象労働者の職務の内容(業務の内容及び責任の程度)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲並びに雇用形態
(1)業務の内容
① 職種:
② 中核的業務:
③ その他の業務:
(2)責任の程度
① 権限の範囲 :
② トラブル・緊急対応:
③ 成果への期待・役割:
④ 所定外労働 :
(⑤ その他 : )
(3)職務の内容及び配置の変更の範囲
① 職務の内容の変更の範囲:
② 配置の変更の範囲:
(4)雇用形態
例1:正社員(年間所定労働時間○時間)
例2:有期雇用労働者(年間所定労働時間○時間、通算雇用期間○年)
例3:仮想の通常の労働者(年間所定労働時間○時間)
均衡待遇・均等待遇のための新たな義務(労使協定方式)
前記の規定は、次の要件を満たす労使協定を締結した場合は、適用が除外【労使協定方式】
① 労使協定の対象となる派遣労働者の範囲
② 次のイ及びロ(通勤手当その他の厚生労働省令で定めるものにあつては、イ)に該当する派遣労働者の賃金の決定の方法
イ 派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額として厚生労働省令で定めるものと同等以上の賃金の額となるものであること。 →毎年6~7月に告示
*1:賃金基本統計調査と職業安定業務統計を用いる。
*2:職種別の一覧表と能力・経験調整指数、地域指数を毎年、政府が公表(時給ベース)
ロ 派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項の向上があつた場合に賃金が改善されるものであること。→昇給制度が必要
③ 派遣元事業主は、①に掲げる賃金の決定の方法により賃金を決定するに当たつては、派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他の就業の実態に関する事項を公正に評価し、その賃金を決定すること。 →評価制度が必要
④ 派遣労働者の賃金以外の待遇の決定の方法が、それぞれについて、当該待遇に対応する派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く。)の待遇との間において、当該派遣労働者及び通常の労働者の職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違が生じることとならないこと。→派遣元の正社員の待遇と不合理な相違は禁止
⑤ 派遣元事業主は、派遣労働者に対して段階的・計画的な教育訓練を実施すること。
⑥ その他の事項
・有効期間(2年以内が望ましい)
・労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定する場合は、その理由
・特段の事情がない限り、一の労働契約の期間中に派遣先の変更を理由として、協定の対象となる派遣労働者であるか否かを変えようとしないこと
均衡待遇・均等待遇のための派遣先の義務(労使協定方式)
派遣先は、派遣先の労働者に実施する「業務の遂行に必要な能力 を付与するための教育訓練」については、派遣元の求めに応じて、派 遣元が実施可能な場合などを除き、派遣労働者に対してもこれを実施するなど必要な措置を講じなければならない。
派遣先は、派遣先の労働者が利用する食堂・休憩室・更衣室につ いて、派遣労働者に対しても利用の機会を与えなければならない。
派遣先は、派遣先が設置・運営し、派遣先の労働者が通常利用し ている物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、 講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設などの施設の利用に関する便宜の供与の措置を講ずるよう配慮しなければならない。
事業主が実施すべき実務の流れ
以上の内容を会社の現状と比較してみてください。すべて一度にできませんので人事評価と賃金について着手しましょう。
お問い合わせは小野事務所にご連絡ください。